息をするように本を読む

文字でしか伝わらないものがあるし文字だけじゃ伝わらないものもあるけど私はとにかく読みたいの

耳で間取りを聞く

日曜日は食料の作り置きとか家族親族に付き合うとかなんだかんだ家事で、全く落ち着かないし全く休日ではない。むしろ平日より落ち着かないしストレス過多。そもそも家に他の人間がいる時点で私にとっては全く休日ではなくて、むしろ仕事してる方が落ち着くしやることいっぱいあるから少しでも進めたいんだけど、これが理解されることはないんですよね。家族が休日だと思ってる日に家で仕事らしきことをしてると嫌がられますので…残念ながら。仕事ができないし3食とおやつ出さないといけないしってなると、台所に立ってるか、昼寝(して夜中に多少仕事を進める)か、そして何か読むか、しかない。やれやれ。

と、やさぐれてたら、広告で出てきた『変な家』のコミカライズ試し読みが目に入る。今まで何度かスルーしてたけど、やさぐれついでに読んでみたらなかなか続きが気になる間取り…続きは有料、検索したら小説試し読みはもっと短くて続きは有料、うーん、え?Audibleなら最後まで無料だと…?

Audibleね…今までも何度かトライしてはいるんですよ。でもなかなか話が入って来ない。慣れてないせいもあると思うけど、やっぱりそもそも認知の適性がですね、私はすごく視覚×文字言語が優位なタイプで、耳からの音声言語は情報処理能力がすこぶる低いんです。

これめっちゃ面白い話なのでぜひまだ試してない方はテストやってみて欲しい。世界の見え方が変わる、というか人によって世界が違って見えてるというのをなんとなく想像していた部分が少しだけ具体的にわかる気がする。

視覚×文字言語が優位な私や友人たちは、たとえば学校の保護者会とかで、最初にプリント配られて、その後ほぼそれをぼそぼそと読みあげられるだけの時間であることに愕然とするわけですが、ていうか、配られて全員にいきわたるまでの間にたいがい読んだし!読むだけの時間なら私は終了で!と思うんだけど、読んでわかるタイプがいるのと同じように、聞いてわかるタイプがあって、読み上げる必要があってやっているらしいんですよね。これはどっちが上とか下とかじゃぜんぜんなく、脳の情報処理システムの違いでしかなくて、逆に私は何かしらの講演会とかPTA任務で行っても真面目に聞いてるのに、実は資料なしでは話が入ってこなくてよくわからない。資料があったりメモとったりするとわかるんだけど、音だけだと1回するっと聞いただけでは厳しい。現状の学校の勉強は教科書を始めとして視覚×文字言語が圧倒的に多いからたまたまついていけたけど、もしこれが基本的に口伝の世界だったりしたら、義務教育の序盤で躓いてたと思う。

 

ていうくらい、音声言語は不得手でして。Audible、きっと年齢とともに目も疲れてくるだろうし、特に家事しながらとか歩いてるときとか、物語の続きを聞けるようになったら最高じゃない?と思って何度か挑戦したことがあるんだけど、好きな本を選んで真面目に聞き始めたつもりなのに、すぐふわふわと脳が音から離れて言語じゃなくなっちゃうというか、声がしてるのはずっとわかってるんだけど、気が付くと、あれ、いまなんて言ってた?しばらく聞いてなかった!とだいぶ戻るはめになるんですよね。しかも何度も。びっくりしちゃう。夜も消灯後にしばらく話の続きを聞けたら最高じゃない?と思って試してみたものの即寝てる。同じ疲労度でもこっそり本を読んでると2時間3時間あっという間なのに。びっくりしちゃう。

小学生の時、読書の時間とかに教室によくいた、本を読み始めてすぐきょろきょろしたり寝ちゃったりする子、落ち着いてしっかり読んだらそこそこ面白い(課題図書とか読めと言われて読むのは好きじゃないので自分もさほど熱中してない)のにすぐ飽きてやめちゃうなんてもったいないと思ってたけど、耳読書だとまさに自分がそれ。怠けてるさぼってる飽きてるじゃなく、それを楽しむ機能が搭載されてないか作動してないかだったんだな…と数十年経ってようやくわかった。

っていうくらい、音声言語は不得手でして(二度目)。しかしそうは言っても、後天的に習得できるあるいは慣れることはできるんじゃないかと、数十年生きてきた経験として思ったんですよね。なにりそ人間は変化し続けられるもので、最初は電子書籍うまく楽しめなかったけどもう平気だし、ながらく線が多くて読めなかった青年漫画とか、絵が苦手だった漫画とかも、話が面白そうだから読みたくてアプローチをかえたり時間をおいたりしながら触れてるうちに楽しめるようになってきたし。物語を楽しみたい続きを知りたいという根源的欲求があれば、音声言語にもそのうち慣れるんじゃないかと。

というわけで、続きがめっちゃ気になってるいま、『変な家』をAudibleで聞きながら台所仕事をしました。面白い話でした。でもね、よりによってこれものすごく間取りのトリッキーさを楽しむやつで、図がいっぱい入ってて。Audibleで聞く小説に挑戦するぞ!という人には実に不向きな題材でした笑。

そして案の定、たびたび聞き逃して、濡れた手で慌てて戻し、聞き直しながら目次からその時に見るべき間取り図を出して、行きすぎてその後のネタバレになりそうな間取り図をチラ見してしまって戻って、ってやってたらまた耳から入ってきてたはずの物語をごっそり聞き逃してて戻って、などとやってて、波乱万丈。

あとなかなか慣れないですよね、地の文と会話文の、完全に芝居ではないけどちょっと変えてる感じの塩梅とか、イントネーションそれでいいんだっけ?とか、その熟語ってそう読むんだ!とか(一人でずっと本読んでる人あるある、語彙が豊富そうに見えて、独自解釈の読み方のまま口に出さないから気付かずに数十年生きてるやつ)、文字で読んでたら何もひっかからないところがひっかかったりして、その間はまた音が聞こえてても言語として処理できないからわかんなくなって戻す、というね。

なるほど、余計な思考と、聞こえる言語を、同時処理できないんだな。目で読んでる時は、どっぷりもぐりこんでる時もあるけど、雑念と同時処理してるときも結構ある。ちらっと時計みて、このあとあるから読んでいられるのあと何分ぐらいだなとか、この訳これで本当にいいんだろうかとか、今日は帰りに米買わないとまじで明日詰むとか、脳の別のとこで雑念がちょっとぐらい動いてても、読んでるとこは止まったり戻ったりせずによほど込み入ってなければそのまま進んでる感じなんですよね。そうかー。すごいな適性って(他人事)。苦手なものに挑んでみたことで、あらためて自分の得意なものがわかる、という、何か妙に教育的に良さそうな感想をもってしまった。

というわけで波乱万丈だったけど、初心者だし拘り過ぎないで完走しようと、たぶん初めてaudibleで1冊完走しました!だいたい面白かった!けど、たぶん私これ紙で読んだらもっと面白く感じただろうなと。登場人物の名前1回や2回きいたぐらいだと把握しきれなくてたぶん終盤間違えて聞いてる感じあったし、あとやっぱ間取り図のとこに指挟んでおいて、謎解きの度にそこ開いておーとか思いながら読みたかった笑